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コンビニ・エバポ 第46弾

導入事例紹介(ユーザーズボイス)

未知物質ピークのLC分取における水を含むサンプル濃縮と、単結晶X線構造解析の結晶化に欠かせません!2mLガラスバイアルの中で濃縮するのでサンプルロスも低減

今回は、茨城県つくば市で新規食品開発、農業生産技術開発、食の安全研究における未知化学物質の探索をされている(一社)新規成分探索研究機構の榊原風太先生に、弊社製品のご意見やご要望を伺ってまいりました。

■インタビュー先:新規成分探索研究機構(Novel Compounds Exploration Research Organization) 専務理事 榊原風太 様

■ラボ所在地:オリエンタル技研工業株式会社(X/S WORKSITE)

■新規成分探索研究機構 web Link : https://g-nero.or.jp/

トピックス

・熱をかけずに水を乾固させる事で熱に弱い化合物の回収率が向上!
・2mLバイアルのまま濃縮ができ、サンプルロスを大幅に削減!
・単結晶X線構造解析の結晶化プロセスにぴったり!

 

研究内容と濃縮の目的

私のテーマは「私たちに見えている自然界の物質はほんの1%に過ぎない」という考えに基づき、「未知物質の悩みが無い安全・安心な世界を創ること」です。特に新規成分探索研究機構(以下、NERO)では、新規食品開発研究分科会(機能性成分、健康食品原料、発酵食品)、農業生産研究分科会(植物成長促進/抑制、殺虫・忌避・誘因活性物質、バイオスティミュラント)、食の安全研究分科会(残留農薬、汚染物質環境動態、残留性有機汚染物質)を設け、それらの分野における未知の成分をHPLCで分取精製し、単結晶X線構造解析装置を用いてその物質の化学構造を特定する事に注力しています。

近年の単結晶X線構造解析装置の進化は目覚ましく、従来では解析できなかったような極微細な結晶でも化学構造決定ができるようになりました。我々はこの新規解析技術を広く農芸化学研究領域へ広めるため、単結晶X線構造解析装置メーカーである株式会社リガクの協力のもと、新規成分探索研究を進めています。微量な二次代謝産物等の化学構造決定にはサンプルのLC分取、濃縮、結晶化が必須であり、その工程で使用している単結晶X線構造解析装置やLCの分析前処理にて、サンプルをドライアップする際にコンビニ・エバポを利用しています。

コンビニ・エバポを利用する条件

・保有機種:コンビニ・エバポC1
・ご使用容器:2mLガラス製バイアル瓶、梨型フラスコ(吹付濃縮具合が程良い)
・溶媒: 水、アセトニトリル 、アセトン、メタノール、エタノール、ヘキサン、酢酸エチルなどを500μLから50mL
・設定温度:常温から100℃
・サンプル:食品、農産物(コメ、キノコ、果実)などに含まれる機能性成分や、物質分解後に生じる未知成分ピーク
・濃縮頻度:毎日数十回
・作業時間:5~30分/回
・設置場所:LC分取と乾固を繰り返すため、LC装置のすぐ横にコンビニ・エバポを設置

コンビニ・エバポ導入のきっかけ・導入後の作業について

幕張メッセで開催されたJASISのバイオクロマトの展示ブースへ装置を見に行ったことがきっかけでした。
水をいとも簡単に突沸もさせず、ほったらかしでコンパクトに濃縮できる様子をみて、これは単結晶X線構造解析における結晶化に最適な装置であると確信しました。

コンビニ・エバポを使ってみて感じたこと

<利点>

・LC分取における移動相溶媒の乾固作業にかける時間と作業労力を大幅に削減できました。また、熱をかけずに水を乾固させる事で熱に弱い化合物の回収率も向上したので、今までの固相抽出カラムの条件検討の前に、とりあえず水サンプルのまま乾固させるアプローチを加えることにしています。
また、固相抽出カラムへ有機溶媒を含むサンプルを通液した後に、その通液サンプルをコンビニエバポにかけることで有機溶媒を揮発させて水リッチな状態にし、その後別の逆相系固相抽出カラムへ速やかに通液する事ができるようになりました。

従来はロータリーエバポレーターを用いており、ガラス容器が大きかったのでサンプルのロスが多かったのですが、コンビニ・エバポはアタッチメントを変えるだけで200mlのフラスコから2mlガラスバイアルまで濃縮する事ができるため、サンプルロスを大幅に削減できました。コンビニ・エバポがラボに来てからは、LC分取にて微量の未知成分ピークを分取する際は2mLガラスバイアルへ分取し、そのガラスバイアルをコンビニ・エバポで乾固し、その乾固バイアルへ複数回ターゲットの未知ピークを分取する事で容器移し替えのサンプルロスも無く、効率よく精製できるようになりました。
 

<ご要望>

・今後、コンビニ・エバポを利用した、微量分取LCに対応する前処理作業を完全に自動化する装置開発、製品化に期待しています。
写真に示すように現在はLC装置のすぐ横にコンビニ・エバポを置いて、LC分取を終えたサンプルを随時乾固させ、その乾固バイアルへまた分取するという事を繰り返すことで、サンプルロスを極力抑えて、結晶化に適した濃度までの濃縮をしています。
既存のフラクションコレクターなどの周辺機器は分取カラム(流速5mL/minなど)を想定したものばかりですが、NEROラボで実施している分取作業は通常の分析で使うカラムサイズ(長さ25cm,内径4.6mm,粒子径5umで流速1mL/min以下)のスケールです。その理由は、微細結晶でも結晶解析できる単結晶X線構造解析においては、サンプルの量よりも質(クロマト純度99%を目標)が求められるため、分取精製時に扱うLCカラムも相互作用の異なるカラムを複数本使って精製する必要があるからです。
分取カラムサイズでは微量サンプルを綺麗にベース分離する事が難しいのと、そもそも型番製品として分取カラムのラインナップがカラムメーカーに無い事も多く、調達に時間(特注対応の納期が長い)とコスト(マニアックな充填剤の分取カラムは1本が100万円を超えるものもあって高額)がかかるので分析カラムサイズのものを多種類使い分けるようになりました。今後の未知物質探索研究において単結晶X線構造解析が頭角を現してくることが予想されますので、購入し易いカラム製品を用いた上記に示したようなワークフローに沿った自動化前処理装置が世に出て来れば、「未知物質に悩むことの無い世界」がまた一歩近づいてくると思っています。

取材者のコメント

風太先生、この度はお忙しい中お時間をいただき誠にありがとうございました。先生のユニークなお話に魅了されつつ、コンビニ・エバポが役立っているというお話を伺うことができ、大変嬉しく思っております。
「安全・安心なモノづくりは、未知ピークを放置しない、正確な品質管理分析法が必要になる。」というお話から、風太先生の未知物質分析への情熱を感じました。また、「単結晶X線構造解析に合わせた前処理装置の開発によって、クロマト業界で共通の悩みである未知ピーク成分の速やかな解明が可能になる」というお話を伺い、自動化前処理装置の開発へのご期待を強く感じました。大変貴重なお声をいただきありがとうございました。今後もご期待に応えられるよう努めてまいります。
(取材担当:菊地、太田)

 

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