コンビニ・エバポ 第38弾
薬物やその代謝物、健康食品成分を含むサンプルなど、水系サンプルの濃縮ができるようになりました!
今回は、違法薬物、医薬品、新規健康食品成分をキーワードとしたご研究を、多数の企業および大学等と幅広く連携して行っていらっしゃる、北市 清幸 先生にお話を伺いました。
インタビュー先:
岐阜薬科大学 医療薬剤学大講座 薬物動態学研究室 北市 清幸 教授
北市先生のご研究内容
- ① 生体試料中の違法薬物の測定法の開発と違法薬物使用実態の把握への応用
② 医薬品の迅速測定法の開発と医薬品適正使用促進に関する研究
③ 新規健康食品成分の測定法の開発と新製品開発への応用
これまでの作業
- 有機溶媒や水の濃縮をロータリエバポレーターや窒素吹付装置を用いて行っていました。
特に、水系溶媒に関しては、有機溶媒を数回つぎ足しながら、窒素吹付装置にて乾固していましたが、1mL以下のサンプルを留去するのに、長いと60分ほど時間がかかる点、
窒素ガスの消費量がかさむ点、また有機溶媒を添加したくないサンプルもある点において、困っていました。
コンビニ・エバポ導入のきっかけ・導入後の作業について
- コンビニ・エバポは、薬学会会場で見かけて知ったのですが、1度見かけた際に興味を持ち、2度目でブースにて装置の説明を聞き、コンビニ・エバポで水の乾固が出来る事を知り、導入を検討しました。
導入後は、主に、水系溶媒の濃縮にコンビニ・エバポを利用しています。具体的には、生体試料(血液、組織等)や製剤サンプル、天然物エキス等に有機溶媒などを添加し、抽出処理を行い、薬物およびその代謝物、健康食品成分を含むサンプルのうち、水の比率が高いサンプルをコンビニ・エバポで濃縮しています。その後、濃縮液あるいは必要に応じて移動相等に再溶解した液をHPLC、LC-MS等の測定機器に注入し、測定を行っています。
≪濃縮する際の実験条件≫
・溶媒名/溶媒量:アセトニトリル、精製水、エタノール、メタノール等、0.5-2mL程度。
・容器種類/容器容量:エッペンドルフチューブ(1.5,2.0mL)が多い。稀に試験管(6mL)も使用
・温度設定:溶媒により可変、常温~50℃程度。
・濃縮頻度:濃縮が必要なタイミングで、1回につき、12-20検体(4検体×3~5回)
・作業時間:1回15分程度
※場合によっては、濃縮効率が向上したことを活かし、1度に濃縮する量を増やして、従来の作業時間(60分程度)の濃縮作業を行うこともあります。
コンビニ・エバポを使ってみて感じたこと
- <利点>
今までの窒素乾固で課題が多かった水系サンプルの濃縮を迅速、かつ、簡便に行えることです。 - 水系溶媒に親和性が高いと考えられるサンプルの濃縮ができるのは大変魅力的です。
- <ご要望>
有機溶媒を含むサンプルの気化にてポンプへのダメージが気になるため、有機溶媒を回収するトラップの小さい(安価なもの)ものがあれば便利だと感じます。
また、C4ライトにて濃縮できるサンプル数が4検体のみなので、数10検体のサンプルがある場合に多少時間がかかる点が挙げられます。一度に30サンプルほど濃縮できる事が理想ですね。
取材者のコメント
北市先生、この度はご多用の中、ユーザーズボイスの取材にご協力をいただきありがとうございました。
WEB越しでの取材となりましたが、こちらからの質問に丁寧に答えてくださる先生のお姿と、研究室HPを拝見し、お会いせずとも素敵な先生と研究室の皆様である、という事が分かりました。先生の研究室では産官学連携を積極的に行われていて、医療や社会へ広く貢献されています。そんな皆様のご研究において、水系溶媒の濃縮の際にコンビニ・エバポが少しでもお役に立てているのであれば大変光栄です。メーカーとして先生の研究室が目指すビジョンに共感し、今後も皆様の研究を応援しております。
▼北市先生の研究室HPはこちら
また取材の最中、「代謝物は水溶性の成分が多い」という事を教えていただきました。水は濃縮しづらい、という課題を多くの研究者様が抱えていらっしゃるという事を示唆いただき、より良い製品を作り、提供していきたいという思いを新たにいたしました。
今後もご期待に応えられるよう努めてまいりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
(取材担当:坪川)
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