受託分析 ユーザーズボイス第1弾
導入事例紹介(ユーザーズボイス)
材料分析の強力な武器を手に入れることが出来ました!
今回は、主として樹脂材料の機器分析を行っている若江様からお話を伺いました。
(インタビュー先:古河電気工業株式会社 先端技術研究所 解析技術センター 分析技術2課 若江 真理子 様)
若江様のお仕事
- 樹脂など有機物を対象とした測定依頼を社内各部署から受けています。主な試料は自社製品であり、樹脂材料以外にも、有機物が関係している試料ではあれば全て対象としています。
それまでの課題と受託分析 委託のきっかけ
- ionRocket–DART-MSを紹介された際に『食品中の油脂劣化状態の直接分析』、『天然ゴム(NR)劣化試験後品の迅速分析』といった劣化に関するアプリケーションを見て興味を持ちました。
- 現状の業務においては、材料の劣化評価が課題となっています。劣化はIRや熱分析などで判別するのは難しいのですが、溶解困難な試料でも前処理不要で迅速に分析できるため、工場や社外クレームなどの現場レベルで発生する問題を解決する能力が高く、さらにソフトイオン化であるDARTに昇温加熱デバイスを組み合わせた質量分析となるため、これまでの測定とは異なった角度のデータが得られそうとの感触を持ちました。
- しかし、実際のところどの程度のことができるのかは、いろいろな試料で試してみないと解らないため今回測定をお願いすることとなりました。
その他に気になる製品
- 他には『同材質間での簡便識別法の提案~ポリエステル系樹脂~』です。従来は試料量の問題もあり添加剤を指標とした判別は考えたこともなく、この測定を本当に手軽にできた時のことを想像して、早く測定をしてみたいと感じました。
測定に実際に立ち会ってみたご感想
<担当者の対応>
- こちらの準備や知識不足にもかかわらず、ご担当の方が非常にご丁寧で、私たちの問題を何とか解決しようと頑張って下さる姿勢が常に見受けられたので、これならば安心して測定をお願いできると感激しました。
- 測定結果を一緒に確認したところ、試料間で添加剤に僅かな差があるかもしれないと思われたので、ご担当の方がその場でデータベースを調べて下さったり、差が分かりやすいように図を作成し直して下さったりしたので、次に繋がる考察を得ることができました。
<担当者とのディスカッションによる成果>
- もともとの目的として、どのようなデータが出るのかを試してみたいという意味もあったため、得られたデータが問題解決に直接有効とはいえなかった試料の場合でも、ご担当の方とのディスカッションを行う中で、本測定を適用すれば有用な結果が得られるのではないかと考えられるその他の試料が、いくつも思い浮かんできました。
- 一番面白かったのは劣化PBTの分析でした。PETやPBTは劣化すると分子量が低下するため、通常はHFIPによるGPC測定を行います。ただ、HFIPは非常に高価であるうえ、カラムの分離能もよくないため実施をためらうことが多いです。ところが、ionRocket-DART-MSで測定したところ、あっという間に試料間の違いが明確になりました。これだけ明確に出ると、劣化判定のためにGPC測定を行なう意味は全くなくなります。
立ち合って感じた 従来の手法と異なる点
- 昇温加熱を行い不分離で質量分析を行うという手法は、一見EGAなどとの違いがわかりにくいのですが、ionRocket-DART-MS分析では、得られるピークが化合物をそのまま反映した分子イオンピークであり、また数mgの樹脂を分解することが可能な為、直接的な情報が得られることや、サンプリング時の汚染、試料の偏りなどの影響を殆ど考えないで済む部分のメリットが大きいことです。
また、工場などからの依頼ではとりあえずの○×判定が必要かつ目で見てわかるデータが必要な為、このような迅速に誰でも一目で見て違いがわかるようなデータを取れる手法は非常に有効だと思います。 - 私たちも、これからはMSを含めた装置導入を視野に入れた形で、継続して受託分析をお願いする予定です。測定や装置自体も面白いので、お手伝いとして御社のラボに通いたいくらいです(笑)
取材者のコメント
今回お話を伺った若江様は、社内から機器分析の依頼を受ける立場であり、材料分析を行う際には、様々な前処理作業が必要となることが多く、測定をためらってしまうこともあったそうです。
このような状況において、弊社からのアプリケーション紹介をきっかけにionRocket-DART-MSの測定に実際立ち会っていただいたことで、溶解困難な試料でも、前処理が不要で他の手法では得られない有用な情報が簡便迅速に得られることを体感していただくことが出来ました。
ionRocket-DART-MSを、「迅速に劣化判定などができ、誰でも一目で見て違いがわかるデータを得られる手法」という強力な武器としてご認識いただけたことで、今後の若江様の業務遂行上の大きな助けになれることを嬉しく思いました。(取材担当:菊地)
Keyword
劣化判定 迅速分析 質量分析 樹脂材料
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