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ライデンフロスト現象を利用したスプレーイオン化法による液体試料の分析

アプリケーション

ライデンフロスト現象を利用したスプレーイオン化法による液体試料の分析1)

はじめに

ライデンフロスト現象とは、液体の沸点よりはるかに高温の金属板などに液体を滴下したときに高温との接触面に自身の蒸発気体の層ができ、液体が浮く現象で、すぐ蒸発しない。その結果、液体中に溶解している成分が濃縮され、溶媒が完全に蒸発する瞬間にその成分も気相に飛び出すことが確認されている。
通常、水中有害物質や生体試料中薬物等の希薄溶液試料を分析する際には、濃縮・分離操作が不可欠であるが、ライデンフロスト現象と直接質量分析法を組み合わせることにより、濃縮・分離操作をおこなわず簡便に感度良く検出可能であるか検討をおこなった。

 

試料

カフェイン(メタノール溶液)JI-014-Figure1

 

方法

実験装置をFigure1に示した。

①ionRocket(加熱デバイス)上で試料台を200 ℃に加熱
②スプレーイオン源(メタノール入)に高電圧を加印
③試料台上にマイクロシリンジで試料20 μLを滴下

 

Figure 1. 分析システム       

結果

加熱デバイス上で試料台を200 ℃に加熱し、約20 uLのカフェイン(メタノール溶液)を滴下すると、数十秒程度で溶媒が濃縮されて一気に気化し、同時に溶質が質量分析計で検出された (Figure 2, 3)。
ライデンフロスト現象と直接質量分析法を組み合わせることにより、簡便に感度良く検出できることが示唆された (Figure 4)。水中有害物質や生体試料中薬物等の希薄溶液試料の分析に有効であることが示唆された。

JI-014-Figure2

Figure 2. カフェインの抽出イオンカレントグラム

 

JI014-Figure3
Figure 3. 溶媒完全蒸発時のカフェインの抽出イオンカレントグラム

 

 

JI-014-Figure4Figure 4. カフェインの抽出イオンカレントグラム

 

 

1)志田ら:ライデンフロスト現象を利用したスプレーイオン化法による液体試料の分析 第64回質量分析総合討論会(2016年5月)

Keyword

ライデンフロスト現象  スプレーイオン化法  ionRocket

 

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