ESI-MS 及び KMD解析を利用した PEG系界面活性剤の 簡便キャラクタリゼーション | 理化学製品の株式会社バイオクロマト | 理化学製品の株式会社バイオクロマト

ESI-MS 及び KMD解析を利用した PEG系界面活性剤の 簡便キャラクタリゼーション

アプリケーション

はじめに

ノニオン性界面活性剤にはエチレンオキシド(EO)などの繰返し構造を有する高分子量タイプがある。これらのキャラクタリゼーションのためにLC/MSなどが用いられることがあるが、分離条件検討やスペクトル解析に時間を要するという課題がある。そこで、本報では分離条件の検討が必要のないインフュージョン法を用い、解析を容易にするためにKMD解析を適用した事例を報告する。

試料

・PEGモノメチルエーテル ・PEGモノ-4-ノニルフェニルエーテル

KMD(Kendrick Mass Defect)解析
MSスペクトル上の全成分を「分子量」vs「元素組成」でプロットし、MSスペクトルの構成成分を俯瞰して解析を行う手法

方法

・試料をMeOH/水(1:1)溶液に溶かし、0.3μg/mLとした。
・シリンジポンプで流速150μL/minで試料を導入し、ESIにてイオン化を行った。
・得られたMSスペクトルをKMD解析ソフト(Spectra Scope、バイオクロマト製)にてKMDプロットの作成を行った。

・KMDプロットの作成
観測した成分の質量を、「繰返し構造」を基本単位として基準化した質量をKendrick Mass (KM) と定義する。

基準となる「繰返し構造」のみで構成される成分のKMは理論的に整数になるが、基準となる「繰返し構造」を持たない成分のKMでは整数からの“ずれ” が生じる。
KMDプロット: (x、y) = (観測した精密質量、“ずれ” ) の二次元マップ

結果

いずれの試料からもEOの繰返し構造に由来する44Da間隔のピーク群をMSスペクトル上に確認することができた(Fig.1、2:上)。
次に、MSスペクトルをKMD解析ソフト「Spectra Scope」を用いてKMDプロットに変換すると、これらの44Da間隔のピークが横一列に並ぶドット群としてプロットされた(Fig.1、2:下、Na とNH4アダクトイオンの2種が主に検出された)。これらの横並びのドット数を数えることでEOの繰返し数を容易に確認することができる(Table.1)。このように、インフュージョン法によるESI-MS に KMD解析を組合わせることで、分離条件などの検討を行うことなく、比較的含有量の低い成分も含め、試料の全構成成分を俯瞰して確認することができる。以上より、本手法は界面活性剤のキャラクタリゼーションや、ロット間調査などの品質確認に活用されることが期待される。



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