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添加剤を指標とした樹脂の熱履歴評価

アプリケーション

はじめに

再生樹脂は持続型社会を実現していくために重要な材料として位置づけられるが、再生に伴い熱履歴が加わる工程を重ねるに従い強度や伸び及び弾性率などの物性低下が生じるため、再生に用いる原材料の熱履歴の管理や程度把握が非常に重要となる。
そこで今回、ポリプロピレンを試料として、迅速な熱履歴評価法の検討を行った。

 

試料ji023_sample

ポリプロピレンペレット: ①新材  ②再生3回

 

 

方法

分析システムは、DARTイオン源と質量分析計の間に、ionRocket(昇温加熱デバイス)を接続して構成した(右図)。
約1mm角の試料をPOT(試料台)に入れ、室温から600℃まで100℃/minで昇温を行った。

 

 

 

結果

室温から600℃までのトータルイオンに関しては両試料で大きな違いは認められず、同様の熱分解パターンを示すことがわかる(Figure 1)。
次に熱分解が生じ始めていた260℃付近のマススペクトルを確認したところ、酸化防止剤である Irgafos168とその酸化体が検出され、その存在比が熱履歴を受けることで大きくなることが示唆された(Figure 2)。
また、Irgafos168のEICを確認したところ「②再生3回」の試料においてその量が減少していることも確認された(Figure 3)。

以上より、含有されている酸化防止剤を指標とすることで、簡便に再生樹脂の熱履歴管理や評価を行うことが出来ると考えられる。
また、本手法は容器や部品などの樹脂製品の品質管理にも応用できることが期待される。

ji023_fig1

 

Figure 1. 室温~600 ℃昇温時のトータルイオン

ji023_fig2

Figure 2. 260℃付近のマススペクトル

 

ji023_fig3

Figure 3. Irgafos168のEIC

 

 

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