ポリエステルの誘導体化レス分析
アプリケーション
はじめに
ポリエステル系繊維のようにエステル結合を含む縮合系ポリマーの材料分析を行う際、識別・分解効率の向上、熱分解生成物の抑制などの目的でモノマー情報を得るために、メチル化剤を併用した熱分解GC/MS分析が行われる。ionRocket DART-MS分析を行ったところ、メチル化剤を使用することなく、高分子の繰り返し構造に由来する分子イオンを検出でき、ポリエステル繊維の種類を簡便識別できることが示された。
試料
ポリエステル系繊維
・ポリエチレンテレフタレート (PET)
・ポリトリメチレンテレフタレート (PTT)
方法
DARTイオン源と質量分析計の間にionRocketを接続し、分析システムを構成した。
繊維試料を3 mm程度取り、POT(右写真)に入れて測定に供した。
ionRocketの昇温加熱条件は、100 ℃/minで室温から600 ℃まで昇温する条件とした。
結果
Figure 1.には各試料のTICを、 Figure 2.には各試料の450 ℃におけるマススペクトルを示した。
マススペクトルの解析により、PETからは、その繰り返し構造に由来する192間隔のピークが、PTTからは、その繰り返し構造に由来する206間隔のピークが観測された。
ポリエステル系繊維の材料分析にて、ionRocket DART-MS分析を行ったところ、熱分解GC/MS分析時のようなメチル化剤添加が不要で簡便に識別できることが示された。
Figure 1. 各繊維試料のTIC
Figure 2. 450 ℃におけるマススペクトルの比較
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