化粧品中のシリコーン系活性剤および被膜形成剤の分析
はじめに
近年、様々な種類の日やけ止め化粧品の開発が進められており、紫外線カット機能や耐水性、並びに使用感の向上などの目的でシリコーン系の界面活性剤や被膜形成剤が用いられている。化粧品中からのこれらの原料分析にはGC-MS (Gas Chromatograph-Mass Spectrometry) やGPC (Gel Permeation Chromatography) などが用いられることが多いが、前処理が必要であることや特異性に欠けるなどの課題点がある。
今回、ionRocketを用いて、前処理なしで化粧品中のシリコーン系原料の分析をおこなった。
試料
日やけ止め化粧品(市販品)
方法
分析システムは、DARTイオン源と質量分析計の間に、ionRocket(昇温加熱デバイス)を接続して構成した。日やけ止め化粧品2μLをPOT(試料台・右写真)に入れ、測定に供した。
ionRocketで試料を室温から100 ℃/minで600 ℃まで昇温加熱した。
結果
各昇温区間における平均マススペクトル(マススペクトル)を下図に示す。昇温により成分が分離され、100℃~300℃区間にPOE変性シリコーン系活性剤が、300 ℃~500 ℃区間に高分子量シリコーン系被膜形成剤を検出することができた。
GPCなどの他の手法では、質量情報が得られない、複数成分が混在していると区別が難しいなどの課題点があるが、本手法では、これまで分析が難しかったシリコーン系化粧品原料の簡便な分析が可能であり、製剤の安定性評価、品質不具合時の同等性評価などに活用できることが期待される。
Figure. 日やけ止め化粧品の測定結果
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