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フタロシアニン系有機顔料の迅速分析

アプリケーション

はじめに

フタロシアニン系有機顔料は、鮮明で光沢性が高く、耐久性に優れることから広く用いられている有機顔料であり、またその機能性から、有機半導体材料、有機ELなどにも使用されている重要な素材である。本顔料は分子量が比較的大きく、溶媒に難溶であることから、顔料そのものの品質確認や、各種材料中からの顔料確認などの分析を行うことは容易ではない。一方、ionRocket DART-MS分析では、特別な前処理を必要とせず、固体試料を大気圧下で質量分析でき、簡便迅速に試料を分析することができる。
そこで今回、前処理無しでフタロシアニン系有機顔料のionRocket DART-MS分析を行った結果を報告する。

 

試料

オキシチタニウムフタロシアニン
C32H16N8OTi( [M+H]+ = m/z 577.10 (Base Peak) )

 

 

方法

分析システムは、DARTイオン源と質量分析計の間に、ionRocket(昇温加熱デバイス)を接続して構成した(Figure 1)。
試料(数μg)をPOT(試料台)に入れて、室温から600℃まで100℃/minで昇温した。

 

結果

Figure 2上段にトータルイオンカレントグラム(TIC)を、下段に [M+H]+に相当するm/z 577.10の抽出イオンカレントグラム(EIC)を示した。EICから、本顔料は400℃付近から検出され始めるものと考えられた。
次に、Figure 3に500℃近傍のマススペクトルを、Figure 4にはその拡大図と、 [M+H]+=C32H17N8OTi の同位体シミュレーション結果(理論パターン)を示した。実測スペクトルとシミュレーション結果が一致していることから、本分析システムによって本顔料を無処理で、そのままの構造を反映した形で検出できることがわかった。
ionRocket DART-MS分析は、有機顔料単体だけでなく、複合材料中有機顔料でも無処理で分析可能であることから、印刷インキやカラー複写機用トナー、塗料などの製品からの有機顔料の直接分析にも適用可能であることが期待される。

 

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