コーヒー豆焙煎中の香り成分のリアルタイムモニタリング
はじめに
・コーヒー豆は焙煎により香りが変化することが知られている。
・焙煎中の香り成分の発生(放出)挙動をリアルタイムでモニタリングするため、Volatimeship DART-MSを用いて測定を行った。
*本データは、ニューヨーク州立大学オールバニ校
Rabi Musah教授から提供されたものです。
実験
・装置
揮発性成分分析用デバイス:Volatimeship(バイオクロマト)
質量分析計:AccuTOF-DART-4G(日本電子)
・測定
Fig.1に示すように、コーヒーの生豆をバイアルに入れ、シリコン栓をしてVolatimeshipに接続する。
バイアルをホットプレートで加熱し、コーヒー豆を焙煎しながらヘッドスペース中に気化してくる成分を、窒素ガスでパージしながらリアルタイムでモニターする。
結果
・コーヒー豆の焙煎中に採取したMSスペクトルをFig.2に示す。
コーヒー豆に特有な成分である、
カフェイン(m/z 195.09=[C8H10N4O2+H]+)と、
刺激臭の元となる成分の一つである、ピリジン
(m/z 80.05=[C5H5N+H]+)が検出された。
ピリジンは、焙煎中に増加することが知られているため、焙煎中の発生・放出挙動をEICを作成して確認を行った。
結果
Fig.3に、TICと各成分のEICを示す。
・上段にはTICを示す。測定開始約3分後にバイアルをVolatimeshipに接続しており、接続に伴うTICの強度上昇が確認される。
・中段に、カフェインのEICを示す。バイアル接続直後から検出されており、焙煎中に検出強度が低下する様子が確認された。
・下段に、ピリジンのEICを示す。カフェインの低下と入れ替わるように検出強度が増していき、かつ、急激に検出強度が低下していることが確認された。
・このように、Volatimeship DART-MSを用いた発生成分の連続モニターにより、各成分の発生や減少のタイミングを把握することが可能となる。
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