クリーム製剤中からの非イオン界面活性剤直接定量
はじめに
非イオン性界面活性剤は、他の界面活性剤との併用性や肌への低刺激性などの特徴があり、近年、化粧品への使用量の伸びが大きくなってきている。処方の安定性を向上させるために、非イオン性界面活性剤を複数種類組み合わされて配合されることが多いが、イオン性や吸光特性などを持たないため処方中からそれらを分別定量することは困難が伴うことが多い。
そこで、今回、ionRocketを用いてヘアクリーム中から無処理で非イオン性界面活性剤であるオレイン酸グリセリドを定量した事例を紹介する。
試料
・試料:ヘアクリーム
(市販品 *処方をTableに示す)
・標準品:オレイン酸グリセリド
(市販原料、Figure 1)
方法
分析システムは、DARTイオン源と質量分析計の間に、ionRocket(昇温加熱デバイス)を接続して構成した(Figure 2)。
検量線作成のため標準品であるオレイン酸グリセリドはTHF溶液として、また、定量用試料であるヘアクリームはそのままPOT(試料台)に入れ、室温から600℃まで100℃/minで昇温を行った。
結果
定量時の指標ピークを設定するため、標準品であるオレイン酸グリセリドの測定を行った。Figure 3に示すように(左:トータルイオンカレントグラム(TIC)、右:2.8minのマススペクトル)、最も検出強度が高い「m/z 372.31」を定量時の指標ピークに設定した。このピークを指標として検量線を作成したところ、良好な直線性が確認された(Figure 4)。続いて試料であるヘアクリームを無処理でそのまま測定したところ、妨害ピーク等の影響もなく指標ピークを捉えることが出来、その定量値が 「0.37%」であることが求められた(Figure 5)。
このように本手法を用いることで、多種類の原料が配合されている化粧品製剤から、非イオン性界面活性剤を前処理なくそのまま定量を行うことが出来るため、製剤分析の工数を劇的に低減することが期待される。
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